映画レビュー

ユナイテッド・シネマ豊洲 「海難1890」ターキッシュエアラインズ特別協賛試写会

実に久しぶりの投稿です。

なんと、【リンクシェア・サロン】『ユナイテッド・シネマ豊洲 「海難1890」ターキッシュエアラインズ特別協賛試写会 』(12月2日)に当たったのです。

実は応募時には、内容は全然知りませんでした。当たってから「どんな映画だっけ?海猿みたいな?」と調べて、エルトゥールル号遭難事件のことと知った次第。

公式サイト
ウィキペディア「海難1890」

明治初期、トルコの軍艦エルトゥールル号が、嵐のために和歌山県沖で沈没し、村人が親身になって救援したというものでした。それと対比させる形で、イラン・イラク戦争時にトルコが日本人をテヘランから脱出させてくれた出来事を描いています。

これだけざっくりと頭に入れて、いざ鑑賞。
結果は、いやあ、涙ボロボロ、泣きまくりでした。
最近は「下町ロケット」でも泣きまくりなんですど、それに勝るとも劣らない涙腺解放度でした。

見返りを期待しない親切、それが国と国との友情に発展する。良いじゃないですか。
パリの同時テロで再び憎しみの連鎖が広まる恐れも指摘される中、その対極にあるこうした内容の映画を観れたことに感謝しました。
ありがとう、串本町の人々。
ありがとう、トルコの人々。
ありがとう、この映画を作った人々。

安倍首相がこの映画の最高顧問になっている理由は、映画を観ればわかるでしょう。ただ、これを政治目的に利用しようとしているなら、「無私」を貫いた登場人物たちと比べ、随分「あざとい」人だと思えてしまいます。

映画自体は、大変満足でした。

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【映画レビュー】12使徒  ー映画「ザ・ムーン」ー

ザ・ムーン
The Moon
2007年アメリカ
監督:ディビッド・シントン

      ◆

人類史上、月面に降り立ったのはたった12人。
まさに現代の12使徒。

1969年のアポロ月面着陸。
全世界が固唾を飲んで見守ったその瞬間。
あの、夜空に浮かんでいる月に、人間が降り立つ。

何と胸踊る壮大な冒険でしょうか。
それを世界中が茶の間のテレビで見ていたというのも驚きです。

もっとも私は、リアルタイムとは言えまだ幼かったので、まったく記憶になく、残念でなりません。

仕方がないので記録映像で見るしかないのですが、この「ザ・ムーン」は彼ら月面に立った人々の証言で構成されているドキュメンタリー映画です。

中でも印象深いのは、地球に帰還したクルーたちが世界中を巡る中で、人々が「アメリカはやりましたね。」ではなく、「私たち(we)はやりましたね。」と言っていたという場面です。

これだけ世界中の人々が同じ一つ思いになったというのは、他にないかも知れません。

さあ、現代の使徒たちの証言を聞きましょう。

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【映画レビュー】人間になりたい  ー映画「A.I.」よりー

A.I.
2001年 アメリカ
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、フランシス・オコナー


あらすじ

近未来、病気のため冷凍保存されている息子を持つスィントン夫妻の家に、愛情を持つことのできるロボット、ディビッドがやってくる。始めは戸惑っていた妻モニカだが、ディビッドの母親となることを決心した矢先、息子が意識を取り戻し、家に戻って来ることに。そしてある事件をきっかけに、ディビッドは森に置き去りにされてしまう・・・。


(以下、ネタばれ注意!)


母親の愛情を求める子供の姿を、この映画では本来愛情を持ち得ないロボットに担わせたのが興味深いです。そのことで、実はロボットとは違う人間の本質を表そうとしているように思います。

映画の冒頭で、重要なセリフが出てきます。

「神は、愛を期待してアダムを造った。」

これはもちろん聖書の創世記に書かれている、神に造られた最初の人間アダムのことです。生きとし生けるものは、神でさえ、愛情をもって応えてくれる相手が欲しいと思うようです。

ディビッドは、本当の人間になれば「母親」に愛してもらえると信じてさまよいます。しかし、たどり着いた場所で目にしたものは、自分と全く同じ姿をしたロボットでした。

「トイ・ストーリー」でも、バズ・ライトイヤーが自分が一個のおもちゃだと悟るシーンがあります。バズはそんな現実を突きつけられてニヒルになりますが、ディビッドの場合は、「僕は一人だけだ」とそれを破壊するのです。

人間になるというのは、「人格」を持つことです。人格とは、パーツとは違って交換不可能なものです。他の誰でもない、唯一の存在であるところに人格が宿り、人格と人格の間に愛情が成立します。

ディビッドはそんな存在になりたかったのです。

(でもH.J.オスメント君では、ロボットであることを容易に忘れてしまいそうになります・・・)

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【映画レビュー】 人生の土台 ー 映画「アメリカン・ギャングスター」より

アメリカン・ギャングスター
原題:American Gangster
2007年アメリカ
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ



(以下ではネタばれがありますので、ご注意下さい。)


激しい暴力やいかがわしい描写もあり、万人にお勧めできる映画ではありません。しかし実話であり、「何が正しいことなのか」を深く考えさせられる、ある意味オトナの映画です。

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。面白い組み合わせです。意外にもデンゼルの方が「悪役」。しかしこの悪者は、家族を大切にします。兄弟に仕事を与え、母親に孝行を尽くし、妻を愛し、教会で礼拝を捧げ、貧しい人に施しをし、派手な服装をせず、紳士的で、食卓で祝福を祈ります。もちろんデンゼルだからハンサムで男前です。

一方、ラッセルは刑事ですが、家庭は崩壊して妻に離婚を切り出され、生活はめちゃくちゃ、女好き、見てくれもだらしない。教会に行っている様子もありません。

デンゼル演じるフランク・ルーカスの正体は、麻薬取引で大儲けし裏世界に君臨するボスです。彼は自分も周りの人間も、外面を厳しく統制します。もちろんそれは裏で成功するためです。彼は「正直」にはなれません。嘘で固めた人生。母親から「嘘はいや」と言われて言葉を返せません。そして最後には、見せかけの帝国は崩壊するのです。

一方ラッセルのリッチー・ロバーツは、汚職にまみれた警察組織の中で孤軍奮闘する刑事です。彼は、正義などというものを大上段には構えません。ただ正直を旨とし、正しいことをするべきだと願っています。周りからの雑音も誘惑もはねのけ、ただ目的に向かってまっすぐ、正直に進んでいきます。そしてそれが最後に実を結びます。

人は小さく弱いものです。何もかも持っている人はいません。何かを追い求めて、何かを犠牲にするしかありません。表と裏の両方の世界で対照的に描かれる2人。外面と内面、真実と虚構、成功と挫折、愛と憎しみ、そういった対立する要素がないまぜになって、映画に面白みと深みを与えています。

話の本筋とは違いますが、よく「アメリカはキリスト教国なのになぜ治安が悪いのか」という疑問(批判?)がを聞きます。この映画でフランクが母と妻を伴って礼拝を捧げているシーンを見れば自ずと答えは見えるだろうと思いました。「キリスト教国」とは「いい人間の多い国」では決してないのです。

人生をどんな土台の上に建てるべきか、考えさせてくれる映画です。

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【映画レビュー】受け継ぐということ ー「ペイ・フォワード」より

こんにちは、ねりまんです。

前から気になっていた映画をレンタルして観ました。
「ペイ・フォワード」です。

2000年 アメリカ
原題:Pay It Forward
監督:ミミ・レダー
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ケヴィン・スペイシー、ヘレン・ハント


あらすじ

ラスベガスにある学校に通う中学1年生のトレバーは、社会の授業で「世界を変えるためのアイデアを考え、実行してみよう」という課題を出され、「3人の人に良いことをする」というアイデア思いつき、周りの人々に対してそれを実行していく。トレバー自身は失敗だったと思う一方で、いつしかこの好意の輪は広がっていったのだった。


(以下、ネタばれあり注意)


大抵の映画紹介欄には、上のあらすじのような内容が書かれているので、子供が考えた善意の輪が広がって行くハートウォーミング・ストーリーだと思ってこの映画を観ることでしょう。

しかしこの映画が描いているのは、アル中、校内暴力、虐待、いじめ、ホームレス、麻薬、スラム、などです。

古き良きアメリカの対極にある、現代アメリカのすさんだ環境が描かれています。

決して子供と一緒に観るような映画ではありません。

こういう過酷な環境の中で子供が生きていかなければならないのは、悲しく、切ないです。

主人公が、紙に×印をつけていく過程を見るのは辛かったです。

ただ、主人公がどうなろうとも、一旦始めた善意は本人の知らないうちに広がっていったというのは、とにかく行動を起こしてみる大切さと、見返りを求めないということを象徴しているようで、これはこれでありかな、という気がしました。

「板垣死すとも、自由は死せず」、みたいな。

善意を受け取った人が、それを理由に他の人に善意を分け与えていきます。

まず先に自分が受け取っているということが重要です。

このあたり、聖書的とも言えそうです。


この課題を出した社会の先生は、父親から虐待を受けていました。

主人公の母親も、自分の母がアル中で不遇な子供時代を過ごしました。

良きにつけ悪しきにつけ、それは子供や周りの人に受け継がれていくことがわかります。

そう、この映画の一番のキーワードは「受け継ぐ」かもしれません。

良いことはそのまま次の人へ受け継げばよいのですが、悪いことは良いことに変えて受け継ぐ。それが世界を変えるということなのでしょう。

その変化を起こすには少し勇気が必要だと、この映画は教えてくれます。

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何のために走るのか ――「炎のランナー」より

こんにちは。ねりまんです。

間もなくロンドン・オリンピックが始まりますね!

ところで、オリンピックを舞台にした映画と言えばこれでしょう。アカデミー作品賞もとっている、私が一番おすすめの映画です。


「炎のランナー」'81年英
原題:Chariots Of Fire
製作:デビット・パットナム
監督:ヒュー・ハドソン


あらすじ

第1次大戦後の1924年、パリ・オリンピックにイギリスの代表で出場した2人のランナーがいた。一人は学生のハロルド・エイブラハム。ユダヤ人の彼は、民族的な偏見を持つすべての人を自分の前に跪かせるために走ろうとする。
もう一人は宣教師のエリック・リデル。オリンピックに出るために伝道を一時中断し、神の御業を称えるために走ろうとトレーニングに励むが、予選が安息の日曜日だということを知って、欠場を決断する。自分の信念を貫いて走った2人のランナーが得ようとしたものは何か、そして実際得たものは何かを、実話を基に描いている。



(以下、ネタばれあり注意)


私の行っている教会に、エリックに似ている人がいます。日本人なんですが、背格好とか顔かたちが何となく似ています。それより何より,敬虔さがにじみ出ているところがとっても似ています。あるときその人に「似てますよね。」と言ったら,「ほんとにそうなら、いいけどね。」と微笑みました。それがまた、冒頭のスコットランドでのシーン,牛が鳴いたときのエリックの笑顔に似ていました。

知人には、これを観て感激して教会に来てくれた人もいますし、牧師をしている妻の父親などは興奮して「アズ・イーグル!」とか言いながらエリックの説教の物真似をしていたそうです。これは何だろうと考えて、「信仰者の強さ」なんじゃないかと思いました。

エリックにオリンピック出場を促すセリフがいいですね。「ジャガイモの皮でも完璧にむけば主を賛美することになる。神の御技を称えるために走れ。」

素晴らしく速いその足を、自分の栄誉、国家の栄誉のためでなくて、神から与えられた賜物として、神を称えるために走ろうとするエリック。日曜日は神の定めた安息日だからレースはしない、というのが彼の信念でした。そこにきて「予選は日曜日」の報。彼は当然悩みますが、結局走らないと決心します。

すごいなあ。

伝道活動も中断してこのオリンピックのためにトレーニングしてきたんだ、走ればいいじゃないか、いや走るべきだ、と普通は思うでしょう。日曜日だからって走らないんじゃ、何のために今までがんばってきたかわからない。でも、大事なのはそこでした。

「何のために」。

国の期待を代表するかのような皇太子の「走ってくれ」という言葉に対して、毅然として信仰を表明するエリック。神への信仰を持つ、ということは精神的に弱いことのように思われがちですが、これを観てたら弱いどころか、強さそのものです。

私は、走るか走らないかということよりも、その人が神様との関係の中に生きているということ、「神様が一番!」って思っていることが大切なのだと思います。神様に喜ばれるように生きたいとその人が思っているということです。

エリックは、日曜日にレースをすることは神が喜ばれないと信じていました。そして、その信仰を誰にも侵させませんでした。それが「信仰者の強さ」なのです。

「勝つ」ことにこだわりながら不安と空しさ感じていたユダヤ人のハロルドとの対比で描かれることで、エリックの「強さ」が、実に説得力を持って迫ってくるように思えます。


ではまた。

ねりまん


2012/7/28追記
ロンドン・オリンピックの開会式で、この映画のテーマ曲が演奏されましたね(パロディー仕立てでしたが)。
そう言えば、7/20からイスラム教のラマダン(断食月)ということで、オリンピック期間がすっぽり中に入ってしまうのですが、オリンピックに出ている選手はどうするのだろうと思ったら、「旅行者はその期間延期しても良い」という規定を利用する人と、エリックのように信仰を表すために真面目に実行する人とで、対応は分かれるようです。
参考:中東研究者、高橋和夫さんのサイト 高橋和夫の国際政治ブログ



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